インナーチャイルドとは?アダルトチルドレンとは
インナーチャイルドとは?
インナーチャイルド(インナーチルドレン)はよく「内なる子供」として例えられます。
子供の時に何らかの理由により「理性的な自分」に「本来の自分」が押さえつけられる事があると、心の一部分が抑圧され、「内なる子供」として成長できないまま大人になってしまう事があります。
例えば、あなたが子供時代にいじめられていたとします。いじめられている時、心の中の本当のあなたは心の中で「いじめるのはやめてほしい」と思っています。しかしその一方で、心の中の理性的なあなたは、「そんなこと言ったら余計にいじめられる」と考えてしまい、言い出せません。
こうして、「本来の自分」が「理性的な自分」に抑えつけられる状況に置かれると、子供のままの心情、感傷が抑圧された心の中に残り、インナーチャイルド(インナーチルドレン)が傷ついてしまうのです。
インナーチャイルドは程度の差こそあれ、誰もが持っています。
よく、機能不全家族による家庭内の問題が原因とされますが、必ずしもそれだけとは限りません。子供が他者と関わること全てにおいて、インナーチャイルドが傷つく原因となり得るのです。何の問題もない家庭で育ったという人も、他の原因で傷ついてしまう場合もあります。
アダルトチルドレンとは
そして、そんなインナーチャイルドが成長できないまま大人になった人が「アダルトチルドレン」です。
アダルトチルドレンの何が問題かというと、小さい時に傷ついたインナーチャイルドによって、現在の思考や言動に「歪み」を及ぼしてしまい、それが人生で様々な「生きづらさ」として現れてくる事です。
インナーチャイルドが傷ついていると、その人が大人になって普通に生活をおくっていても、何か違う、何か足りないという無意識からのメッセージが途絶えることはないでしょう。なぜなら、インナーチャイルド(幼少期の頃のあなた)はずっと傷ついたままだからです。
自分が普通の人と違うと感じたり、偏った思考をしてしまったり、自分を愛せなかったり、コミュニケーションがうまくできなかったり・・・そんな、日常生活において感じる 『生きづらさ』 はありませんか?あなたが今まで感じていた生きづらさは、傷ついたインナーチャイルドからのメッセージかもしれません。
あなたがもし今の「生きづらさ」から開放されたら、どんな人生になるでしょうか。
自分を信じられるようになり、バランスのとれた思考が持て、能力を充分に発揮し、生きていることを当たり前に喜ぶことができる・・・そんな、 『ありのままに生きられる人生』 を取り戻せるかもしれません。
このサイトはそんなインナーチャイルドを癒し、アダルトチルドレンを克服する方法について書いています。
インナーチャイルドを癒やすステップ① 今を把握する
インナーチャイルド、アダルトチルドレンが持つ 「生きづらさ」 チェック
まず、自分のインナーチャイルドは傷ついているのか、アダルトチルドレンの可能性が高いのかどうかをチェックしてみましょう。そして今、自分はどんな生きづらさを持っているかをあらためて把握しましょう。
下記の項目で自分があてはまるものがあるかどうか見てみて下さい。チェックが10個以上ついた人はアダルトチルドレンの可能性が高く、チェックの数が多いほどインナーチャイルドが傷ついていると言えます。
・人間関係が苦手で人と深く関われない ・いい人を演じてしまい、自分を優先できない ・自分は平均より劣っていると感じる ・完璧主義でうまくいかないとすぐ嫌になる ・自分が信じられず、悪いところばかりが目につく ・争いを避けるため、すぐ自分の意見を曲げる ・いつも不安や心配事にさいなまれている ・自分は価値の無い人間だと思ってしまう ・他人が怖く、人の中にいても孤独を感じる ・自分は誰からも愛されていないと思う ・あまり怒らないが、怒る時は激高してしまう ・不安や恐怖が先に立ち、新しいことを始められない ・自分の生きている意味がわからなくなる ・人生にいまいち喜びや希望が持てない ・終ったことや現実に起きてもいない事を考えてしまう ・自分の本心を人前に出すのが苦手 ・友達は多くなく、親友と言える人もいない ・自分が何がしたいのかよくわからない ・家族と関わるのにもギクシャクする ・心にゆとりがなく、他人や自分のミスに厳しい ・ちょっとした事でも、いつまでも自分を責めてしまう ・責任感が強く、余計なものまで背負ってしまう |
・他人に優劣をつけて、心のなかで軽蔑したりする ・持続力に欠け、最後までやり遂げることはあまりない ・テンションの上下が激しく、行動に一貫性がない ・いつも何かにイライラしていて、常にストレスがある ・体調がいつも悪く、スッキリしている時があまりない ・嫌われたくないために自分を犠牲にする傾向がある ・こうであるべき、のような強迫観念的思い込みがある ・歳でもないのに記憶力が落ちている感覚がある ・嫉妬や恨み等、マイナス感情に囚われることが多い ・身体的コンプレックスが、とても深刻なものに思える ・自分は嫌われているのではないかと疑ってしまう ・人、お酒、薬、賭け事など、何かしらに依存している ・自分より他の人の都合を優先し、自分は我慢してきた ・辛い時、自分から助けて欲しいと言い出しにくい ・物事のバランスがとれず極端な結果になりがち ・悪い事や反抗などをして注意を引きたくなる時がある ・物事を楽しむことが下手で、何をしても面白くない ・ネガティブで、ポジティブな事を受け入れるのは苦手
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チェックが多かった人はアダルトチルドレンの疑いがあります。
実際には、各項目のような心理状態になるのは様々な要因が絡んでいますし、その影響度も個人差があるので、これだけで詳細に診断することはできません。
しかしながら、チェックの多い人ほど「生きづらさ」があるのは事実でしょう。そして、それらのほとんどは生まれつき持っていたものではなく、子供から成長してくる過程で身につけた事のはずです。
成長する過程で身についた「生きづらさ」を改善していきたいなら、インナーチャイルドを癒す事は非常に有効な手段であると言えます。
インナーチャイルドを癒やすステップ② 原因を探る
原因と思われるものを探ってみよう
次に、インナーチャイルドが傷ついた原因を探ってみましょう。
インナーチャイルドは幼少期に「理性的な自分」に「本来の自分」が押さえつけられる事で傷つきます。インナーチャイルドが傷つくきっかけとなった出来事がないかどうか、自分の記憶を遡ってみてください。
・本当は○○したかったのに、○○せざるをえなかった事
・本当の感情を押し殺さなくてはならなかった事 など
過去を見ていくと色々な記憶が思い出されると思いますが、ひとつひとつを紙に書き出すなりして、その中でも最も今の自分に影響を与えている原因だと思われるものを特定して下さい。
どの記憶がそれなのかわからないという方もいると思いますが、根気よく探っていくと、これがそうかもしれないと 『しっくりくる』 ものがわかるはずです。
インナーチャイルドのよくある原因
多くの場合、子供にとってはじめて他の人間と関わる家庭内での出来事が原因です。
注意すべきなのは、虐待や家庭内不和などわかりやすいものだけが原因というわけではないという点です。世間的にみれば大したことのないような出来事だったとしても、本人にしてみれば大変ショックだった事や印象に残ったことがあれば、それでインナーチャイルドが傷つくことがあるのです。
また、マイナス方面の事だけが原因とも限りません。過保護や過干渉などが原因になることもあります。家庭内で原因が思い浮かばない場合、幼稚園や小学校での出来事も思い返してみましょう。
※出来事に関するトラウマが強く、詳しく思い出したくない場合は、無理に考えないようにしてください。
インナーチャイルドを癒やすステップ③ 分析する
インナーチャイルドが傷ついた出来事の分析
インナーチャイルドが傷ついた出来事がわかったら、次はその時の自分を分析します。
・その時どんな気持ちだったのか
・その時本当はどうありたかったのか
ここで重要なのは、その時の感情を 『ありのまま感じる』 ことです。
当時のことを思い出すとき、あなたの理性が色々邪魔をしてくるかもしれません。「状況が状況だけに仕方なかった」「運が悪かったんだ」「あの時は私が原因を作ったから」「今にして思えば大したことない」など、様々な解釈をつけようとするでしょう。
しかし、それこそがアダルトチルドレンのしくみなのです。あなたの満たされなかった思いを、理性がなんとか補填しようとしているのです。そこで理性に頼ってしまっては、いつまでもインナーチャイルドが癒やされることはありません。ノイズに惑わされず、その時の自分の正直な気持ちを感じましょう。
出来事が起こった時、あなたはどこに誰といて、何を話しましたか?どんな事をしていましたか?インナーチャイルドが傷ついた瞬間は、どんな事が起こりましたか?あなたはどんな気持ちで、どんな表情ですか?
そして一番大事なのは、『その時あなたが本当はどうありたかったのか』です。
その満たされなかった気持ちこそがインナーチャイルドの傷である可能性が高いのです。今のあなたがそこをしっかり認識することが、インナーチャイルドを癒すための重要なステップになります。
文章にして書き出してみよう
頭の中だけでうまく整理できないという人は、文章にして書き出してみるのもいいでしょう。
例文として、あるモニターの方の体験談を載せておきましょう。
私は幼少時代のいじめによってインナーチャイルドが傷つけられました。
子供の頃よく近所の子供達と一緒に遊んでいたのですが、ある時期からその中でいじめにあうようになりました。理由は、私がちょっとにぶくて体が小さく、運動があまり得意でないとかだったように思います。
その出来事によって、当時の私は大変傷つき悲しい思いをしました。自分は皆と対等じゃない。自分がダメだからだ。自分は弱いからだ。自分がバカだからだ。言葉にこそしないものの、そういう思いがありました。
その後、自分を認めることができない性格に育ったのも、あの時感じた「自分はダメだ」という意識が根本に流れていたからかもしれません。もちろんあの出来事だけが今の性格を形作っているわけではないと思いますが、私の人生に大きく影響したのは確かです。
私は本当は皆と対等に仲良く遊びたかった。そのままの自分を受け入れてほしかった。
そんな思いが満たされないままずっと心の中にあったということに気づきました。
このように第三者にうちあけるような文章でもいいですし、箇条書きのように簡単な文でも、かなりの長文になってもかまいません。ただ、気持ちを捻じ曲げたり、余計な解釈をつけようとせず、ありのままの気持ちをさらけ出すように書いて下さい。
インナーチャイルドを癒やすステップ④ 寄り添う
インナーチャイルドの感情を開放する
次は、傷ついたインナーチャイルドを癒すステップです。
あなたのインナーチャイルドに大人になったあなたが寄り添い、回復へと導きます。
先ほどのステップでインナーチャイルドが傷ついた出来事を思い返した時、過去のあなたが本当はどうしたかったのかがわかったでしょう。そして、インナーチャイルドがずっと抱えていた感情もわかるはずです。辛かった、苦しかった、嫌だった、悲しかった、寂しかった、悔しかった・・・など。
それらの訴えを余すところなく聞いてください。そして、感情を開放してあげましょう。
悲しさを感じたなら、充分に悲しみましょう。泣けるのであれば思い切り泣きましょう。怒りを感じたなら、吐き出しましょう。(ただし、発散する時は安全な方法でおこなってください)
インナーチャイルドには大人になったあなたの助けが必要です。様々な経験を経てきたあなたが、知識や経験やその存在をもって、無力だった過去の自分の保護者となるのです。
傷ついたインナーチャイルドはあなた自身ではありますが、傷ついたまま時間が止まっている子供そのもの。言わばもう一人のあなたです。本物の子供に接するように寄り添ってあげてください。人によっては子供扱いを嫌がるインナーチャイルドもいるので、そこは個人にあったやり方で接してあげてください。
インナーチャイルドのイメージ方法
自分のインナーチャイルドとの対話には、よく手紙が使われます。過去の自分から現在の自分へ手紙を書いてみると、インナーチャイルドがどういうメッセージを発しているかが掴みやすいでしょう。
傷ついた過去の自分が訴えたかったこと。短い文でもいいので、それを手紙に書いてみましょう。その際、子供が使うような文体で書いたり、利き手でないほうの手で書くとよりイメージしやすいと思います。
そして、現在の自分から返信をします。過去の自分の存在を肯定したり、自分が一緒にいる、守ってあげると安心させたり、なんでも打ち明けられるように促したり。過去の自分にとって一番の味方である存在となり、何回か手紙をやりとりすれば、少しづつインナーチャイルドの傷が楽になっていきます。
過去の自分(自分のインナーチャイルド)をうまくイメージできないという人は、架空の自分の子供をイメージしてもいいかもしれません。もし自分の子供が自分と同じような目にあって傷ついたら、と考えるのです。
傷ついたインナーチャイルドに対し、どう接していいかわからないという人もいるでしょう。そういう時は、ただ抱きしめる事をイメージしてみましょう。難しい事を考えず、ただただ抱きしめるだけでも効果があります。
インナーチャイルドに寄り添い、感情を開放していくことで、あなたの傷は次第に癒やされていくでしょう。
しかし、回復には時間がかかる場合もあります。良くなったと思ったら、また元に戻ったと感じることもあるでしょう。長年に渡り身についていた考え方のクセはなかなか変わらないものです。
じっくりと時間をかけて、インナーチャイルドを安心させてあげる必要があります。
インナーチャイルドを癒やすステップ⑤ 新しく歩み出す
インナーチャイルドの傷が癒やされてくると、今までマイナスの感情で占領され余裕がなかった心に新しいスペースができます。その心のスペースを素晴らしく活用し、新しく踏み出してみましょう。そうすればあなたは更に生きるエネルギーに満ち溢れていくことでしょう。
自分を観察できるようになろう
普段の自分が物事に対してどんな反応しているかを観察し、どのような思考や感情のクセがあるのかを見てみましょう。その際注意して欲しいのは、『自分を悪者にしない』ということです。例えどんなクセがあったとしても「良い」「悪い」とせず、ただありのままを認識するのがポイントです。「自分にはこういう傾向があるな」ということを「良い」「悪い」抜きで観察できるようになってくれば、自然と行動が変わってくるでしょう。
可能性に視点を置けるようになろう
「自分はこういう人間だから」「あの人はこういう人だから」「これはこういうものだから」のように、知らず知らずのうちに自分が決めた枠の中で考えてしまっていませんか?人や物事には沢山の可能性があるのに、我々は無意識にリミットを決めてしまいがちです。そんな枠に限界づけられるよりも、まずは「何でもできる」という可能性に視点を置いてみることから始めましょう。意図したことができなくてもかまいません。まずは可能性に視点を置いてみる事が大切なのです。
分かち合いができるようになろう
自分がどうなりたいかやどう生きたいかを人と分かち合えるようになりましょう。口にだすことで漠然とした想いが整理されたり、実際の行動に繋がったり、引き寄せの法則が働いたりと、分かちあうことは言い尽くせないほど様々な効果があります。その際は、自分を偽らずありのままの自分で会話しましょう。時には怖い時や言いにくい時もあると思いますが、そういう時は無理せず話さなくてもいいでしょう。ただ、「なぜ今自分が言いにくいと感じているか」に注目すると、より深く自分を知るヒントになります。
専門家に相談するという選択肢
インナーチャイルドやアダルトチルドレンを、カウンセラーなど専門家に相談する事も考えてみましょう。
自分でインナーチャイルドを癒していく事も可能ですが、やはり専門知識を持ったプロによる治療を受けたほうが効果的に改善していくでしょう。また、本当に何も包み隠さず話すことができる相手を得ることは、心を改善する上で大切な要素です。
欧米ではカウンセリングは日本よりも遥かにポピュラーです。風邪をひいたら病院に行くように、なんとなく心がモヤモヤするからカウンセリングを受けよう、というくらい気軽に利用する人も多くいます。
一方、日本人はなかなかカウンセリングを利用しません。カウンセリングを利用する人は「おかしくなった人」のような偏見があるのか、それとも忍耐が美徳とされる日本のお国柄のためか、積極的に利用する人はほとんど見られません。心に問題があっても、自分でどうにかしようということばかりで頭がいっぱいになり、専門家に相談しようという選択肢を考えない人は多いです。
カウンセリングは本来、そのように構えないといけないものではなく、心のケア方法としてもっと身近に考えてよいものです。心にすっきりしないものものがある方は、一度利用を考えてみてはいかがでしょうか?